ごあいさつ


わたしは、両足ともに臼蓋形成不全のため完全脱臼の状態で生まれたのですが、
1歳になるまで脱臼していることに気づかれずに育ち、
そこから6度にわたる足の手術を受けたのですが、
その際医療ミスに遭い、余計に足が不自由になり、片耳も副作用で全く聴力を失い、
幼い頃から、数えきれないほどの試練を乗り越えてきました。

10代の頃から変形性股関節症に進行し、気を失いそうなほどの股関節の激痛と痙攣に襲われ、
何度も救急車で運ばれては、入退院を繰り返しながら、
20歳すぎから松葉杖をつきはじめ、数年後には車椅子生活を送るようになり、
この頃から福祉の世界に対する偏見や暗さを身に染みて感じていました。

それから3人の子どもたちに恵まれました。
お産の際には、普通分娩は100%無理、
お産の後、歩けなくなるかもしれないと
何人もの医者から言われながらも、普通分娩で産むことができました。

そんな幸せな中でも、自由に動けない苛立ちとあまりの激痛に、
わたしなんか生まれてこないほうがよかったと物ごころついた頃から、
何十年も思い続けてきました。

そして、2009年初夏に、とっても大切な、大好きな姉が、
3人の子どもたちを残して、突然この世から去っていきました。

その2週間後に少し動かしただけで痙攣が起きる右足から先に、
人工股関節置換術の手術を受けました。

そして入院中、リハビリの先生と話すなか、
福祉用品がやぼったくて、若い方がオシャレに手軽に持てるようなものがなく
困っている方が多いと聞かされました。
現にわたしも困っていました。

退院したら、ずっと勤務していた会社に戻るつもりだったのですが、
昔から同じ身体の不自由な方たちに喜んでいただける仕事がしたかったことを思い返したのと、
きょうという日をどうしても生きたかった姉のぶんまで精一杯生きたい、
地味な障がい者の世界を華やかにするためにわたしはこういう身体に生まれたんだ
という使命感が日増しに強くなり、若い方々でも喜んで使用していただける、
デザイン性豊かな福祉器具をご提供させていただく会社を起業しました。

社名の「AUBE creation(オーブ・クリエーション)」は、
『福祉の新しい時代を創る』という想いから名づけ、
ステッキにもその想いを引き継ぐ想いで、
社名と同じAUBE Stick(オーブ・ステッキ)と名付けさせていただきました。

わたし自身も8回めの手術を終え、両足ともに人工股関節となり、
なんとか自分の足で歩けるようになりましたが、
長距離を歩くときにはステッキを持って歩いています。

起業してから、主人とふたりで会社を運営し、
長男にもステッキのモデルになってもらったり、運営の手伝いをしてもらいながら、
ずっと支えてくれたのですが、2017年6月末に主人が急に倒れそのまま他界し、
長男も主人の後を追うように2019年11月に22歳で天国へ旅立ちました。

わたし一人になり、なかなか前向きになれませんでしたが、初心を想い返し、
ご使用されるお客さまと同じ目線に立ち、
寄り添いながらほんとうに喜んでいただける商品をお届けさせていただきますので、
どうぞよろしくお願いいたします。

最後までお読みいただき、ほんとうにありがとうございました。

                        オーブ・クリエーション 今井 純子